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映画 『レッドクリフ partⅡ -未来への最終決戦』 [Movie]


【初回生産限定】レッドクリフ Part I & II DVDツインパック

【初回生産限定】レッドクリフ Part I & II DVDツインパック

  • 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
  • メディア: DVD




もうね。どこから手をつけていいのか途方に暮れるほどの、凄まじい駄作でした。
サブタイトル「未来への最終決戦」…、赤壁の戦いは、約1800年前なんですが、まあ、よしとしませう。。

前作第一部は、三国志好きである自分を極力押さえ、できるだけイチ娯楽大作として観たつもりでしたが、、ここまで三国志を愚弄されると、さすがに腹が立ちました。三国志というか、歴史というものを馬鹿にしています。
ジョン・ウーなんて監督は昔からまるで好みではありませんが、なんなんだこのオッサン。チャン・イーモウのほうが1万倍マシ。

本作を、三国志という中国の歴史の一部の史実に照らしてどうのこうの、という議論はすべて無意味です。たぶん、三国志ファンはこの視点から、リアリティの欠如を論の中心に据えて、クソミソに叩くでしょう。
けれど「三国志の、ある戦争を題材にしたフィクションでしょ?」という意見の前には、マニアの指摘するであろうリアリティなんて無力です。そもそも歴史を題材にしたフィクションなんて、記録と伝聞を脚色して再構成するしかないんですから、基本的にウソッパチの軽重に差異があるだけです。それでも、コレは、あまりにも捻じ曲げすぎですけどね。
それでもちょっとリアリティについて言わせて(笑)
・・・数万の軍の指揮官は剣で雑兵とチャンバラなんてしないし、指揮官の美人妻が大戦の直前に投降して開戦を遅らせたりなんかしない。
三国志好きの個人的な感情から、僕は多くの場面がとうてい許しがたかった。
それがこの作品に対する「批評」ではなく、感想です。
なんで、孫権の妹が、敵の雑兵と友情を育んで、戦場で死に別れて絶望してんだ! そんな無茶苦茶な設定で感動させようなんて考えた監督の神経が、信じられない!

では批評ですが、、
物語については、前作のときにも述べたとおり、完全に勧善懲悪の物語になっている点が、現代人としてあまりに鈍感だと思います。
善と悪を明確に区別し、善が悪を駆逐するという物語を発想することは、現代においては、単なる思考停止なのではないでしょうか。
たとえ娯楽作品であったとしても、それは、世に作品(しかも超大作)を問う表現者が、911テロ以降、最も敏感にならなければいけないことなんじゃないか。
この点ひとつ取ってみても、僕はこの作品を作った監督の、何一つたりとも評価する気になれない。

孔明・周楡の友情物語であったとしても、また設定上必然的な戦争であっても、要は、敵数十万人を燃やして殺しているわけです。これほどの大量殺人映画なんて、滅多にないですよ。
何が「未来へ」だ? と思います。戦争は、次の戦争を生むだけです。
この赤壁の戦いのあとも、三国の争いは続き、無数の兵士や民が覇権争いに巻き込まれて死んでいったのです。
現代人の鈍感な感性を見事に具現化したような娯楽作品が、これほどまでに持てはやされている現状に、絶望的な気分なりました。

映像に関しては、特筆すべきものは何もありません。巨額を投じればあれくらいは可能でしょう。

ということで、久々にケチョンケチョンに言ってしまいました。面白かったヒトは不快になったでしょうね・・・
タグ:三国志
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映画 『レッドクリフ』 壮大なスケールの、要はカンフー映画 [Movie]


レッドクリフ Part I スタンダード・エディション [DVD]

レッドクリフ Part I スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
  • メディア: DVD




みなさまあけましておめでとうございまする。

さて。元旦に、ひとりで映画観て来ました。
田舎の巨大集合型映画館で、メジャーな作品ばかりの中から僕がチョイスしたのは、ちょっと話題になっていた『レッドクリフ』。

まあ僕こう見えて本を一冊書けるくらい三国志が好きなのですが、三国志を好きなヒトが観てはイケナイ映画(※)だと思って、封切り後もあえて無視を装っていたんですが、、
消去法でこれになりました。コーラとフライドポテトを買って、いざ「赤壁」へ!
結論から言うと、僕の(※)はズバリ的中でしたね。

これは三国志のワンシーンという設定を借りた、壮大なスケールのカンフー映画だと断言しまーす!

三国志マニアの視点でいうと15点くらいです。
歴史上の実在人物というのは、しかも三国志くらいポピュラーなエピソードの人物は、人それぞれ脳裏に描いているイメージがありますから、配役は難しいとは思うんです。
トニー・レオンにしろ金城武にしろチャン・チェンにしろ好きな役者ですし、劉備が「ただのコ汚いおっさんやん」という以外は、まあ納得です。
ただ、、
周瑜のような大軍の指揮官が、自ら軍配を剣に持ち替えて敵に斬り込むとは何事だ!! ありえないわけです。
軍vs軍を圧倒的規模で描写しつつ、個vs個の見せ場を作らなければ娯楽映画として成立しないのはワカリますけどね。

つまり、リアリティを放棄し、美男美女の恋と友情で彩った歴史アクション(カンフー)映画なんですね。
その視点からすると、55点くらいですね。とにかくすごいんだから、なんというか、スケールが。
そういう意味では、ま、そこそこ楽しめました。

ただはっきりと気に入らなかったのは、物語がおもいきり勧善懲悪になっている点ですかね。
曹操という三国志中もっとも奥行き、厚みがあるとされる人物が、単なるスケベ大名扱いですからね。
・・・まあそこも、結局三国志マニアの視点になるのか、、いや、違うな、、勧善懲悪は物語というものを単純きわまりないものにしてしまいます。

なんにせよコレ、2部作です。
前編はもう完全にネタふりですので、完結編も観に行くことになると思います、、

って、結末を明確に知りながら観に行く映画作品というのも、珍しいですね。
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映画 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(ウォン・カーウァイ) [Movie]


マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション [DVD]

マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
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ウォン・カーウァイの最新作、
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007)を観ました。

「感傷的」な映画監督ウォン・カーウァイはやっぱり好きだ、と再確認しました。

感傷的というのは、「悲しい」とか「涙もろい」とか「傷つきやすい」というのとは違うんですね。
直接的な感情の発露ではなく、感情の震えに自らが陶酔する、ある種のナルシシズムによって発動する、人間のわりと高度な(そしてわりと無駄な)感情の動きなのだと思います。
感傷的な心性を持った人間は、おそらく、ウォン・カーウァイの作品世界に酔うことができます。

とここまで書いたところで、以前ウォン・カーウァイについて日記に書いたことがあると思い出しました。
やはりありました。

前作『2046』の時の文章はこちら↓
http://astro.blog.so-net.ne.jp/2005-10-24

ん~、いま読むと語り口が非常にヒョーロンカみたいなんだけど、この監督についての感想は、これっっぽっちも変わってないです。

つまり『マイ・ブルーベリー・ナイツ』も、'いつものウォン・カーウァイ'でした。
わりと繰り返し言ってしまうことなんですが、「何を作っても同じ感じになっちまうよ、俺・・・」というその「感じ」が、その作家のオリジナルです。その意味ではウォン・カーウァイは確かにオリジナルを持っていますし、そのオリジナルな何かが、僕の「感傷的」な領域を刺激するから好きなのですね。

えと、で、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』。

ストーリーはシンプルです。失恋から、新しい恋にいたるまでの時間を描いています。

ウォン・カーウァイは「何を」描くかではなく「どう」描くかの部分でその才能が強く輝いていると思うので、はなから物語になんて注目していないし、それは重要ではありません。
が! そのわりにはキャストが豪華です。

歌手のノラ・ジョーンズが主役です。この人の歌はよく知らないですが、意志的でありつつ奥ゆかしさもたたえた目の、キュートな若い女性です。相手役にジュード・ロウ、脇をレイチェル・ワイズとナタリー・ポートマンが固めています。

失恋から新しい恋にいたる道のりが、そのまま空間的な距離になっているところが、すごく面白いです。
離れることで近づいていく男女の距離を、旅の途中の愛にまつわるエピソードを使って上手に描いています。

ラスト・シーンが、とても美しいです。
終わり方をカッコつける監督ですが、今回も見事に決まっています。
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映画 『崖の上のポニョ』 いいじゃん。 [Movie]

崖の上のポニョ [DVD]

崖の上のポニョ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
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「崖の上のポニョ」、家で2回ほど観ました。
率直に「いいじゃん」ってのが1度目の感想で、「うん。やっぱいいじゃん」ってのが2度目の感想で、つまり「いいじゃん」、正確に言うと「わりと、というか結構イイ」作品だと思いました。


映画や小説に関しては巷の評価とかあまり見ないようにしてるので、興行的に大ヒット作品である「ポニョ」がどんな評価をされているのかよく知りません。でもまあ、賛否両論でしょうねぇ。
たぶん好意的な意見としては「わかりやすい」「シンプル」「かわいい」、否定的な意見では「なんか物足りない」「実は難解やん」とか言われてると想像されます。


完全に子供に向けて作ったの!
という監督の製作意図を、そのまま受け入れるならば、これは成功だと思います。だって、子供たち、釘付けだもん。画面に。その意味では見事に成果出てます。例の歌も、子供たちみんな歌ってるし。


「トトロ」よりもさらに純粋に、ダイレクトに子供向けです。
トトロには「過去に子供だった大人」のノスタルジーを刺激する要素と、物質社会から駆逐されつつある、ある種の感受性の大切さを訴える意志が、より明確にある気がします。

ポニョにも、文明批判的キャラ位置の父と、母なる海的な海なる母とか、「説明はしないけど、まあ、この程度の思想は入れちゃうよん」というある程度の「オトナ要素」もありますけど、色彩や登場キャラクターは、もう、圧倒的に子供の視覚を惹きつける作りになっているような。


子供向けにしちゃよく見ると意味ありげ、とか、これまでの奥行きある作品群に比べると物足りない(アクが弱い?)、という気がしないでもないですが、実際、娘(2歳)の意識へのインパクトを目の当たりにしていると、僕らオトナの視点なんて、クソの意味もないとも思えてきます。(僕にちいさな子供がいるからかな)

整合性とか、テーマとか、そんなのいいじゃん。
子供はそんなの知らんもん。
大人だってそんなのが明確に理解できたとしても、だから何さ。
空想の世界だって、実世界と同じように説明のつかないことがあってもいいよ。
ポニョ、ひたむきでいじらしくてかわいいやん。

というオトナ的達観もありつつの、「イイ映画じゃん」という感想でした。



ちなみにこれまでの宮崎駿監督の劇場作品を好きな順に並べると、ポニョは4位デス。
「となりのトトロ」>>>「天空の城ラピュタ」>>>「ハウルの動く城」>「崖の上のポニョ」ですかね。
「ハウル」は最近観直してみたら、一度目以上に胸がキュンキュンしました。
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映画『タロットカード殺人事件』(ウディ・アレン) [Movie]

タロットカード殺人事件 [DVD]

タロットカード殺人事件 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
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久しぶりにウディ・アレンの作品を観たんですけど、やっぱりイイですね。
「ウディ・アレンの映画」としか言いようのない作品、つまりいつもの彼です。大人のコメディ。

いろいろな意味でとても「かわいい」映画ですし、ひさしぶりに映画で思いきり笑いました。なんて愛らしい作品!ぜひ観ていただきたいと思いますネ。

[ストーリー]
夏休みを利用してロンドンの友人宅に滞在中のアメリカ人学生サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)は、遊びに行ったマジック・ショーで、敏腕新聞記者ストロンベルの幽霊に遭遇し、巷を震撼させる連続殺人事件の犯人が青年貴族ピーター・ライモン(ヒュー・ジャックマン)であるという特ダネを明かされる。ジャーナリスト志望のサンドラはスクープをものにしようと、三流マジシャンのスプレンディーニこと同じアメリカ人のシド(ウディ・アレン)と組んで上流階級のピーターに近づく。

話の筋はシンプルなサスペンスなのですが、幽霊や死後の世界などの非現実的な設定が「フツーに」挿入されていて、それがサスペンスの緊張感を損なうことなく、さっきも述べたように作品全体をとても'愛らしく'しています。
主要な人物は3人!(ウディ・アレン本人を含む)
その全員が非常に個性的で、それぞれの与えられた役どころを見事に演じ倒していました。

スカーレット・ヨハンソンは「ロスト・イン・トランスレーション」(ソフィア・コッポラ)で惚れてしまった女優ですが、知的とは程遠い、おバカさんだけれど一本気な女子大生を演じていて、非常にキュートでした。


ウディ・アレンは齢70を越えているはずですが、これっぽっちも衰えを感じません。(毎年1本)
「毎度おなじみの」映画を撮りつづけるというのは、毎回異なるチャレンジをする作家よりもタフな精神の持ち主なのかもしれません。
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映画『街のあかり』(アキ・カウリスマキ) [Movie]

街のあかり [DVD]

街のあかり [DVD]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
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出ました。
敬愛して止まない映画作家、アキ・カウリスマキの最新作。
ちょっとした理由で劇場に行けなかったのですが、やや疲弊した心が欲したウディ・アレンの作品を借りようと足を運んだビデオ屋で偶然発見し「っおっ!?これは・・・」ってことで、即借りちゃいました。


『街のあかり』
美しいタイトルです。
『浮き雲』('96)『過去のない男』('02)に続く「人生の落伍者シリーズ」の完結編らしいですが、
そういったカテゴライズは意味がないし、好きじゃありません。

さて本作。
やはり最高でした。カウリスマキ節炸裂。
彼にしか表現しえないオリジナルに満ち満ちています。
「今回はこういうふうに撮ろう」という作家の作為ではなく、「何を撮っても、こうなっちゃう」という種類の独自性がすなわちその作家のオリジナルというもので、そういう意味でカウリスマキの作品は常に同じ質感、同じ匂いに溢れています。
そしてどの作品にも、強い愛おしさを抱いてやみません。

毎度のことですが、冷たい雨が淡々と降り続けるように(怒涛のように、って感じではないですね)、絶望的状況が主人公を着実に濡らしていく。それで凍えているかというと、そういう風には見えない。

悲劇といえば悲劇に違いないですが、あまりにも物語的抑揚に欠いた、意図的にシラけた雰囲気を醸す演出のせいで逆に非常にユーモラス('笑い')になっちゃてるのが、この監督の狙いであり、創作における一種の生理であり、ひいては人生という舞台に対する彼のスタンスなのかもしれません。
一見シニカルで、ニヒリズムとも見えるけれど実は正反対で、人間の生への慈しみを感じさせるあたたかみが漂う。
これこそがカウリスマキの魅力だと思っています。

極端に会話が少ない(1998年の『白い花びら』はなんと無声映画)、
登場人物が滅多に笑顔を見せない(本作では、主人公がたった一度だけ笑いました!)、
決して美人とはいえないがインパクト充分のヒロイン(監督の作品でいつもヒロインだった女優さんも一瞬出た)、
シーン切替時の暗転の「間」、
古臭い、ダサかっこいいロック・ミュージック、

これまでの作品に共通するそういった特徴が存分にあらわれており、ファンの期待を裏切りません。
逆に「普通の映画」(抑揚に富んだドラマ性)に慣れた目には、そのテンポや世界の異質な肌触りに「・・・、なんじゃこりゃ」と、ちょっと唖然とさせられるような強い印象を与えると思います。

同じフィンランドを舞台にした邦画『カモメ食堂』のような似非ヒューマニズムなどとは次元の違う(あの映画のことを思い出すと腹が立つ)、曇天に閉じ込められた北国の、薄暗い街のはずれで地に足をつけて生きる人間たちを見つめつづける作家の、骨太の愛のまなざしを感じられて、ひいては僕自身の'人生劇場'をやさしい手つきで再構築できるとすら思えたりする、それがアキ・カウリスマキの作品を待つ最大の理由です。
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映画 『サッド ヴァケイション』(青山真治) [Movie]

サッドヴァケイション プレミアム・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
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青山真治監督の作品、ひさしぶりです。
2000年の『ユリイカ』に筆舌に尽くしがたい感動をおぼえた者として、彼の作品には一種の畏怖を抱いて逆に手をつけられなかったのだけれど・・・

本作ではその『ユリイカ』と、更に以前の作品『Helpless』の設定とキャラクターを一応引きずった世界が描かれていました。
途中で気づいたんですけど。

う~ん。。
物語的には、「心の傷」(こうして使うとじつに嫌な言葉だ)を抱えた人間たちの再生への希望と挫折といった、
どちらかというと救いがたい陰鬱が立ち込めた空気感を存分に描いていて、この長さでこのテーマをねっとり描く映画作家なんて見かけないし、好きか嫌いかというと好きなほうなんですけれど、、
『ユリイカ』と比べると、アナザーストーリー的な小品にまとまってて、なんというか迫力というか衝撃は少なかった。

この監督ならこれくらいワケないですよね。みたいな。
期待が圧倒的に強いぶん、ちょっとアレっ?って感じで。

浅野忠信も宮崎あおいも、あと石田えり(すごい存在感)もヨカッタんですけど、オダキリジョーが果たして彼である必要があったのかどうか。。

日記でとりあげることもないかと思ったんですが、どちらかという『ユリイカ』を是非ともオススメしたいですね。
ここ20年くらいの日本映画の中では他の追随を許さない最高傑作だと思っています。
EUREKA ユリイカ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
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タグ:青山真治
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「スカイフィッシュの捕まえ方【板尾創路編】」 [Movie]

「スカイフィッシュの捕まえ方【板尾創路編】」というDVDを観ました。 !-- amazon -->
スカイフィッシュの捕まえ方 ~板尾創路編~ [DVD]

スカイフィッシュの捕まえ方 ~板尾創路編~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: Viictor Entertainment,Inc.(V)(D)
  • メディア: DVD

http://www.jvcmusic.co.jp/rice/skyfish/

内容はこんな感じ。↓↓

■噂のDVDシリーズ、伝説の男を迎えついに最終章!笑いの果てへ。
未確認動物(UMA)である「スカイフィッシュ」の捕まえ方をただひたすらに紹介する前代未聞のHOW TO!?ドキュメンタリーDVDシリーズ。国内各地のスカイフィッシュ獲り名人達の捕獲方法を詳細に紹介した"国内編"、そして、無駄に海外ロケを敢行!遂に海外へ飛び出し世界各地のスカイフィッシュ捕獲名人を取材した、"サイエンスジャーニー編"に続く、待望の最新作! 今回は、全2作で紹介できなかった新たな捕まえ方を徹底レポート!先祖代々から伝わる伝統の「亀漁、スカイフィッシュの好物と大掛かりな仕掛けを駆使して捕獲する「バズーカ漁」、そして謎に包まれた「縄がけ漁」、それぞれの名人による捕獲方法をレポーターが徹底取材!そして・・・。

要は、実在しない生物の捕まえ方をレクチャーしています。究極に、くだらない(笑)
しかも僕の大好きな天才・板尾先生主演。
感想は、まぁなんというか、板尾テイストに終始しているといいますか、本シリーズの底抜けにしょうもないテーマと板尾の笑いの質をミックスした、企画側のセンスに尽きます。

作品中出てくるスカイフィッシュ捕獲同好会(会の内部でいがみ合いが発生中)、
「スカイフィッシュ・フレンズ」のチーム名が、短期間で19回変わったというくだりが一番笑えました。
「あ・ぴすとる」とか「kiss of my life」とか。

過去のシリーズも観たくなりました。
実に様々なスカイフィッシュ捕獲方法があるようです。
こんな感じ。↓↓

~サイエンス・ジャーニー編~
サンプル:http://www.youtube.com/watch?v=uutrGmGfHh0
●ナサホディカ・ウポル(サモア・彫刻家)
巣攻め漁/森の中に点在するスカイフィッシュの巣を探し出し、穴の中に眠っているスカイフィッシュを引きずり出して捕獲する。
●ペドロ・サンチェス(メキシコ・牧場主)
スプードル漁/スカイフィッシュの住む洞窟に入り「スプードル」というスカイフィッシュ捕獲専用の道具を使用し捕獲する。
●ミヒャエル・リーゼンフーバー(ドイツ・数学博士)
計算漁/独自の研究により発見した方程式を使用し、スカイフィッシュの軌道を先読みして捕獲する。
●根本辰男&周嗣(日本・林業)
猛毒漁/二酸化炭素に寄って来るというスカイフィッシュの習性を利用して捕獲する。
●マーヴィン・オリバ&ジェフリー・ドイル(アメリカ・元刑事)
説得漁/スカイフィッシュを説得して、投降してきたところを捕獲する。

その他、世界最大の検索エンジンを駆使する「Google漁」とか(笑)

不条理でシュールなユーモアを堪能できるので、松本人志や板尾創路系の笑いに共感できる方は、ぜひどうぞ☆


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映画 『ブロークン・フラワーズ』 [Movie]


『ブロークン・フラワーズ』(2005年/監督:ジム・ジャームッシュ)

ブロークンフラワーズ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
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ジム・ジャームッシュ久しぶり。
やっぱ好きです、このひと。
確実に、オリジナルな何かを持っていますが、そこを上手く言えない。
その「上手く言えない何か」がこの監督のオリジナルで、僕はまさにその部分を好きなんだと思うんですけど。

登場人物の微妙な沈黙の間、シーン転換のタイミング(暗転)など、アキ・カウリスマキのセンスに似てきているような??
(ちなみに好きな監督ベスト3にアキ・カウリスマキは確実に入ります)

ストーリーは、、(某掲示板から引用)
ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)。小金持ちの独身男。初老のジャージ愛用者。
その昔は女たらしだったらしいが、今や恋人(ジュリー・デルピー)に愛想を尽かされた。
そこに匿名の手紙が届く。20年前の女の誰かからで、ドンの息子を産み育てた、その息子が父親に会いに行くかもしれない、と言う内容だ。友人のウィンストン(ジェフリー・ライト)にそそのかされて、ドンは手紙の差出人を探るべく、20年前に関係があった女たちのところを巡ることになる。。

僕は映画や小説にストーリーの面白さを求めません。
といってこの作品にストーリーがないわけではないんですが、作者の志向は物語構成よりも「どう描写するか」へのこだわりに貫かれている。
この随所にあらわれるこのこだわりというかセンスが、なんとも言えずおもしろい。

諦観なんだか達観なんだか、何を考えているのかわからない、温度の低いビル・マーレイ演じる主人公の強烈なキャラクターありきですが、滑稽な愛らしさが匂ってくる。

変なシーンがいっぱいあります。
ネタバレになる部分は避けますが、昔の彼女たちは当然みんな年老いて、しかもみんな風変わり。彼女たちがまずブロークン・フラワーです。
あと、ウケたのが、
・友人が、旅のお供にと、エチオピア音楽のCDを編集してくれる。この音楽が妙におもしろい。
・昔の彼女の娘が、いきなり全裸で出てくる。
・飛行機で隣に座った女の子の馬のぬいぐるみが、「ヒヒヒーン」と鳴く。
など。。
ストーリーに関係のない、無意味と思えるシーンが心に残るのがふしぎです。
これは観ないとわからないおかしさです。

謎のピンクの手紙の差出人を探る旅で、過去の女がまさに過去であること知り、
道中、生き生きした、咲き誇る美しい花のような女性たちに見入ってしまう主人公。

昔の女を巡る旅の果てに、主人公は語ります。
「過去は終わってしまった。未来は、どうにかなる。だから大事なのは現在だ」
このセリフを聞くともっともらしく聞こえますが、エンディングの謎といい、監督はひとりの中年男の人生をわかりやすく説明してはいません。

観る側の解釈に委ねる。
というスタンスを、僕は指示します。映画は理解するものではなく、それぞれが解釈するものだと思います。
解釈の余地のある映画だけが、僕たちに「問い」を投げかけてきます。
その「問い」を抱えつづけることが、人生の奥深さでありおもしろさに他なりません。
ん?なんか変な文章になっちゃったな。。


映画 『麦の穂を揺らす風』 [Movie]

麦


『麦の穂を揺らす風』(2006)監督:ケン・ローチ
http://www.muginoho.jp/

1920年代のアイルランド独立戦争(に翻弄される人間模様?)を描き、
カンヌでパルムドール(最優秀作品)を獲得したという作品です。

戦争(戦闘)をマクロな視点で描くのではなく、個人の内面や葛藤から照射しています。
背景としては、アイルランドが独立を目指し英国と戦うのですが、中途半端な講和が成立したせいで、徹底抗戦派と穏健派の内部争いになっていくというものです。

貧困層を救うための「本当の自由」をあくまで追いつづける弟と、これ以上人民を犠牲にしないための和平を説く兄が、敵見方に分かれて戦わなくてはならない。。

痛々しいし、救いがない。暴力は常に理不尽だし、力なき民はあまりに無力。
戦争のむなしさを描く方法はたくさんありますが、ドンパチで肉体が無残に破損する描写ばかりの作品と違い、暗くて深い、繊細な奥行きを感じさせます。

作品とは離れますが、
まず、こういう作品が、単館上映でしかない、つまり全国で大規模に公開されない日本の映画事情というか、コマーシャリズムというか、大衆娯楽と芸術の問題とか、そんなことをおもいました。
お金はかかっていないけれど、ピアノの小品のような、ささやかだけれど美しい、人間の真実を描写した映画は、ものすごくたくさんある。
でも、この国、いや、おそらく文明国家の多くでは、そうした作品は嗜好品のようにマニアックな扱いをされている。

感受性が画一化されちゃうだろ、
というような娯楽作品ばかりがあふれ、それが受け入れられていることを、こうした映画を観るたびに考え、さみしい気持ちになります。
(「映画はなんでも観ます」というひとが、全国ロードショーされている大作ばかり観ていて、「なぁんだ」と俯きたくなることが、けっこうあります)


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