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映画 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(ウォン・カーウァイ) [Movie]


マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD



ウォン・カーウァイの最新作、
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007)を観ました。

「感傷的」な映画監督ウォン・カーウァイはやっぱり好きだ、と再確認しました。

感傷的というのは、「悲しい」とか「涙もろい」とか「傷つきやすい」というのとは違うんですね。
直接的な感情の発露ではなく、感情の震えに自らが陶酔する、ある種のナルシシズムによって発動する、人間のわりと高度な(そしてわりと無駄な)感情の動きなのだと思います。
感傷的な心性を持った人間は、おそらく、ウォン・カーウァイの作品世界に酔うことができます。

とここまで書いたところで、以前ウォン・カーウァイについて日記に書いたことがあると思い出しました。
やはりありました。

前作『2046』の時の文章はこちら↓
http://astro.blog.so-net.ne.jp/2005-10-24

ん~、いま読むと語り口が非常にヒョーロンカみたいなんだけど、この監督についての感想は、これっっぽっちも変わってないです。

つまり『マイ・ブルーベリー・ナイツ』も、'いつものウォン・カーウァイ'でした。
わりと繰り返し言ってしまうことなんですが、「何を作っても同じ感じになっちまうよ、俺・・・」というその「感じ」が、その作家のオリジナルです。その意味ではウォン・カーウァイは確かにオリジナルを持っていますし、そのオリジナルな何かが、僕の「感傷的」な領域を刺激するから好きなのですね。

えと、で、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』。

ストーリーはシンプルです。失恋から、新しい恋にいたるまでの時間を描いています。

ウォン・カーウァイは「何を」描くかではなく「どう」描くかの部分でその才能が強く輝いていると思うので、はなから物語になんて注目していないし、それは重要ではありません。
が! そのわりにはキャストが豪華です。

歌手のノラ・ジョーンズが主役です。この人の歌はよく知らないですが、意志的でありつつ奥ゆかしさもたたえた目の、キュートな若い女性です。相手役にジュード・ロウ、脇をレイチェル・ワイズとナタリー・ポートマンが固めています。

失恋から新しい恋にいたる道のりが、そのまま空間的な距離になっているところが、すごく面白いです。
離れることで近づいていく男女の距離を、旅の途中の愛にまつわるエピソードを使って上手に描いています。

ラスト・シーンが、とても美しいです。
終わり方をカッコつける監督ですが、今回も見事に決まっています。
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