映画 『レッドクリフ partⅡ -未来への最終決戦』 [Movie]
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- 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
- メディア: DVD
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もうね。どこから手をつけていいのか途方に暮れるほどの、凄まじい駄作でした。
サブタイトル「未来への最終決戦」…、赤壁の戦いは、約1800年前なんですが、まあ、よしとしませう。。
前作第一部は、三国志好きである自分を極力押さえ、できるだけイチ娯楽大作として観たつもりでしたが、、ここまで三国志を愚弄されると、さすがに腹が立ちました。三国志というか、歴史というものを馬鹿にしています。
ジョン・ウーなんて監督は昔からまるで好みではありませんが、なんなんだこのオッサン。チャン・イーモウのほうが1万倍マシ。
本作を、三国志という中国の歴史の一部の史実に照らしてどうのこうの、という議論はすべて無意味です。たぶん、三国志ファンはこの視点から、リアリティの欠如を論の中心に据えて、クソミソに叩くでしょう。
けれど「三国志の、ある戦争を題材にしたフィクションでしょ?」という意見の前には、マニアの指摘するであろうリアリティなんて無力です。そもそも歴史を題材にしたフィクションなんて、記録と伝聞を脚色して再構成するしかないんですから、基本的にウソッパチの軽重に差異があるだけです。それでも、コレは、あまりにも捻じ曲げすぎですけどね。
それでもちょっとリアリティについて言わせて(笑)
・・・数万の軍の指揮官は剣で雑兵とチャンバラなんてしないし、指揮官の美人妻が大戦の直前に投降して開戦を遅らせたりなんかしない。
三国志好きの個人的な感情から、僕は多くの場面がとうてい許しがたかった。
それがこの作品に対する「批評」ではなく、感想です。
なんで、孫権の妹が、敵の雑兵と友情を育んで、戦場で死に別れて絶望してんだ! そんな無茶苦茶な設定で感動させようなんて考えた監督の神経が、信じられない!
では批評ですが、、
物語については、前作のときにも述べたとおり、完全に勧善懲悪の物語になっている点が、現代人としてあまりに鈍感だと思います。
善と悪を明確に区別し、善が悪を駆逐するという物語を発想することは、現代においては、単なる思考停止なのではないでしょうか。
たとえ娯楽作品であったとしても、それは、世に作品(しかも超大作)を問う表現者が、911テロ以降、最も敏感にならなければいけないことなんじゃないか。
この点ひとつ取ってみても、僕はこの作品を作った監督の、何一つたりとも評価する気になれない。
孔明・周楡の友情物語であったとしても、また設定上必然的な戦争であっても、要は、敵数十万人を燃やして殺しているわけです。これほどの大量殺人映画なんて、滅多にないですよ。
何が「未来へ」だ? と思います。戦争は、次の戦争を生むだけです。
この赤壁の戦いのあとも、三国の争いは続き、無数の兵士や民が覇権争いに巻き込まれて死んでいったのです。
現代人の鈍感な感性を見事に具現化したような娯楽作品が、これほどまでに持てはやされている現状に、絶望的な気分なりました。
映像に関しては、特筆すべきものは何もありません。巨額を投じればあれくらいは可能でしょう。
ということで、久々にケチョンケチョンに言ってしまいました。面白かったヒトは不快になったでしょうね・・・
タグ:三国志
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