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映画 『トスカーナの贋作』 『十三人の刺客』 『ヒアアフター』 『新少林寺』 [Movie]

この週末は家族が留守だったので、DVDを4本レンタルしてきた。日曜の朝、友だちと茅ヶ崎の海岸をジョギングしたりしたけど。
まあ、のんびりしました。

観賞したDVDの感想を、ざっくりと書いてみます。(観た順番)


『トスカーナの贋作』

トスカーナの贋作 [DVD]

トスカーナの贋作 [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD


ぼくは、キアロスタミ監督は大好きなんですよ。小1時間は語れるくらい。
陳腐で青臭い表現を承知で、バカ正直に宣言してしまうと、映画の美しさ、生きることの美しさ、をぼくに教えてくれた数少ない映像作家、というかクリエイター、というか芸術家のひとりです。
映画の「中」と「外」を作中で繋いでしまう、という手法で主題、メッセージのようなものを際立たせるという独特なことを平然とやっちゃう監督なんですが、本作『トスカーナの贋作』については、ぼく、正直よくわかりませんでした。

壮年の、「贋作」と「本物」をめぐる美術論を上梓した作家と、同年代の、アトリエを経営する女性のコミュニケーションを、思弁的な問答を織りまぜて描く・・・と思いきや、2人はある瞬間から「15年連れ添った夫婦」を演じていきます。その「贋作」としての夫婦関係が本気の緊張感を帯び、それが虚構なのか現実なのかわからなくなっていく。

でもこれが、何を主題にしているのか? それがわからず・・・。
まあ、変わった映画でした。しかし、いま作品を思い返してみたら、もう一度観たくなってきた。
長い時間を共にして、亀裂の幅をじわじわ拡げてきた夫婦の感じは伝わってきましたが、それをニセモノの夫婦が演じるってのは・・・なんなんだ?

『十三人の刺客』

十三人の刺客 通常版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


悪逆非道のお殿様を、国を、臣民を守るために、13人の勇者が討つ。
というそれだけの話。日本人が大好き、みごとなまでの勧善懲悪モノでしたね。
特に感想はありません。
お金かけてこういうのをド派手にやりたかったんだろうな、監督は。という。
今この時代は、暗君を殺せばそれで終わり、という時代でもないのに、どういうメッセージがあったんでしょうか。特に無いんでしょうね、そういうものは。いや、無くても全然いいんですけどね。

三池崇史さんという監督は、多作で、公開作のタイトルと内容を聞くたびに、「またこんなの撮ってるんだw」という感想を抱きます。このひとからは、「名作」を撮って、「権威のある賞を獲って、世界から認められたい」というような野心を感じません。
自分が面白いと思うもの、自分が映像化してみたいものを、好きなようにガンガン撮っていくぞ、という若々しい意欲をつねに感じますね。個人的には、たのしめない映画が多いんですけど(笑)

『ヒアアフター』

ヒア アフター ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【初回限定生産】 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray


これは佳作です。良い映画だと思いました。
クリント・イーストウッドの監督した作品って、全部は観てないんですけど、どれも、なんというか言葉にしにくいものをゴロリ、と胸中に放り込んでくるんですよね。
「これは・・・良い映画だと思う・・・」って大体思うんですよ。でも「何が」良かったのか、うまく言えない。描こうとしているものが、単純じゃない。
毎度まいど、主題、題材の選び方が、独特の着眼なんですよ。
「どうしてこういう映画を撮ろうとおもったのか」ってのが、わからない。変なヒトです。
それでいっつも、完成度が高い。
内容どうこうでなく、ていねいに物語を練り、役者をていねいに選び、映像を丹念につくり、音楽も慎重に挿入する。それで、重くて、立ち止まって沈思黙考させるような、この監督特有の感動をもたらしてくれる。

この映画は、「死」を扱っている。もっというと、死後の世界を扱っている。死に接近した、触れた、抱えた人間に、死後の世界の存在を通じて希望を与えている。
ふつう、こんな危なっかしいテーマ、取り上げないですよ。オカルトになっちゃうもん。でもそうならない。静謐な荘厳と、静かな慈しみに満ちている。前段に書いたイーストウッド監督への評価は、この作品を観る以前から、ぼくが持っていたものです。そしてこの作品を観たあとも、寸分たりとも変わらない。なんという個性的な映画監督なんだろう。

この映画を2011年3月11日以降に観たひとは、誰もが、あの巨大な津波を思い出すでしょうね。信じられないほど「リアル」な津波のシーンがあります。
津波に飲まれて「一度死んだ」女性が再生していくさまと、あの東北の津波被害者、その家族が再生いくことを安易にリンクさせることなどできないけれど、この映画は、死後の世界の存在という反則めいた切り口からであれ、人が救済されうる、再度立ち直って希望をもちうる、ということを描いている。
オススメできる映画ですね。

『新少林寺』

新少林寺/SHAOLIN スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD


『少林寺』といえば、ぼくが幼少時カンフー映画にハマるきっかけを作ってくれた名作で、そのリメイク?です。
とはいえ、時代設定(辛亥革命後の混乱期)も物語設定も、ぜんぜん違う。
少林寺拳法という武術(まあ、カンフーですね)での戦闘シーンは当然たくさん出てきますが、拳法は仏教のおしえと同義、つまり精神を律し、心のありようを仏性へ近づける思想という描かれ方がされています。カンフー映画ではあるんだけど、徳や慈愛を説く人情映画、というふうに見えましたね。

独裁政権の権力者が、腹心に裏切られ妻子はじめすべてを失い、かつて独裁時代に愚弄した「少林寺」で改心し、やがて、今や独裁者となって民を虐げるかつての腹心と対決していく、武ではなく心でな!という。あ、ネタバレした。
まあなんというか、開始20分で予想外のストーリーになっていったわけですが、それはそれでどうも図式的な、ご都合主義的な、ステレオタイプ的な「イイ話」になってて、ぼくはだんだん「あ~あ・・・」となっていきました。
暗すぎるんだよ!!もっとこう、ハチャメチャやってくれや!!と思っちゃいました。

てわけで、感想は以上でーす。


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