SSブログ

映画 『GOEMON』(紀里谷和明)  [Movie]



GOEMON [DVD]

GOEMON [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


劇場公開時に監督がテレビに出てインタビューしていたときの内容と、製作ドキュメンタリーの番組をたまたま観て、DVDが出たらレンタルしようと思っていました。
紀里谷監督は面構えのいい色男だし、多分相当に頭も良いのだろうけれど、恐ろしく自信家で、能力のある自信家特有の攻撃性とそれゆえの孤高感が出ている人格に見えて、作品のクオリティに絶対の自信を持っている口ぶりだったので観てみたのですが、全然楽しめませんでした。
なぜそう思ったかということを簡単に。

僕は色彩と視覚の関係とか全然わからないんですが、CGの多用された映像を観ていると、単純に目が非常に疲れるんです。本作「GOEMON」もとても眼球(?)が疲れました。
毎朝子供向け番組を目にしているんですが、7時半からテレビ東京で放映しているディズニーの最新アニメはすごく目がチカチカして疲れるのに対し、同じ時間帯にテレビ神奈川で放映している「世界名作劇場」の再放送(名犬ジョリィ、ふしぎな島のフローネ等)は、まるで疲れない。チャンネルを12から5にパッと変えると、なんだか落ち着くんです。前者は完全なCGアニメで、後者は手書きのセル画アニメーションです。それらを見比べてあっさり出した僕の結論は、CGアニメは画面上の色が過剰だということです。キャラクターだろうが背景だろうが、とにかく色の種類というか数が多いので、こちらの眼球が対応できず、強い刺激を受けている感じになる。僕らの自然界はこんなに超カラフルじゃないです。ですので内容うんぬんでなく、子供にはCGアニメはあんまり見せたくないなと思っています。CGアニメと視力の関係って、問題視されないんですかね。

「GOEMON」の監督の紀里谷和明氏は、「実写とアニメの中間を目指したい」と言ってましたし、それはまあ、人間がCGで描かれた世界の中を飛んだり跳ねたりしているんで達成されてはいると思いますが、僕は内容以前に、こんなに目がしんどいものはもうコリゴリって感じです。
「トランス・フォーマー」のようなハリウッドの実写+CG映画であまり目が疲れたと感じたことがないのは、キャラクターがCGで背景は実写ベースで作っているからで、「GOEMON」は逆に、人物は実写だけれど背景はほとんどCGなんですね。キャラクターよりも背景のほうが画面を占める面積は当然大きいので、刺激も強い。
んでもってCGクリエイターとしての監督はおそらくみずからの美的感覚と強いこだわりに従って、すべてのシーンを徹底的に「美しく」色彩豊かに描いているんですが、とにかく過剰というか、僕には白々しく、毒々しいだけにしか見えませんでした。
過ぎたるは及ばざるが如しです。勿論コレを見て「あぁ、キレイだ」と思う人もいるでしょうけれど。

独特の前衛的な衣装やありえない建築物のデザインも、センスが個性的というよりも、「個性的なセンスの切れ味」を表出させたいだけなんじゃないかと勘ぐりたくなるような過剰さに満ちていて、なんというか、鼻につきました。
作り手の自意識が強すぎる作品は、ジャンルを問わず、見る側にある種の押し付けがましさを感じさせるな、とあらためて思いました。

んでストーリー、、信長と秀吉あたりの史実を題材にした戦国ロマンなんですが、わりと古臭い物語の骨格をしています。時代設定を戦国乱世にして、友情、恋、障害、復讐、挫折、死などのつまり「青春映画の構成要素」をちりばめて話を作れば、わりと古典的な物語構造になってしまうんです。そこからはみ出るいい意味での危うさは特にない。映像にはこだわるかわりに、物語に対する素養はわりと浅いんじゃないかと・・・ 言いすぎですね(笑)

長くなっちゃいました。要するにまとめると、、

・CGやりすぎで目が疲れる
・美的感覚が自意識過剰
・物語は古典的センス

という感想になり、これが冒頭の「全然楽しめませんでした」の中身です。江口洋介はカッコよかったけれど(凄い肉体美)、もうこの監督の映画は観ないと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。